デート代は奢るべきか。払われる側を職業にしていた僕が答える

デート代を誰が払うべきかという議論に、僕は長く当事者として入れなかった。払う側ではなく、払われる側にいたからだ。

25歳からの2年はレンタル彼氏で指名約80人、並行してギャラ飲みが約200回。23歳から25歳まではバーのカウンターで、他人のデート代の決着を毎晩眺めていた。

両側から見た答えを先に書く。支払いは関係の値付けではない。役割の分担だ。この記事では奢る派も割り勘派も断罪せず、で結局どう組むのかまで書く。

なさ男

金額は関係の質を上げない。上げるのは、決め方のほうだ。

目次

デート代は奢るべきかという問いに、答えを先に書いてしまう

出し惜しみしても仕方がない。答えをここで全部出す。持ち帰るものは3行で、残りの章はその3行がなぜそうなるのかの説明だ。

初回は出す。ただし、出せる店を選んでから出す

初対面から2回目までの食事は、男が全額出す前提で組むのが一番摩擦が少ない。ただし条件がつく。全額出す前提で店を選ぶところまでが、ひと続きの動作だという条件だ。

順序を逆にやる男が多い。先に見栄えのする店を押さえて、伝票が来てから青くなる。払っているのに機嫌が悪いという、一番まずい状態だ。相手はその不機嫌のほうを覚えて帰る。

なぜ初回だけ男が持つのか。相手は移動と時間に加えて、素性の分からない人間と会う安全上のコストを負っている。そこに金額の交渉まで乗せると負担が片側に寄る。初回の支払いは優しさではなく、釣り合いを取る分担だ。

2回目以降は、分担を一度だけ言葉にする

3回目あたりから、毎回その場で判断するのをやめる。「食事はこっちが持つから、映画とかカフェはお願いしていい?」を、会計の場以外で一度だけ言う。これで以降の支払いが作業になる。

言葉にするのを避ける男は多い。金の話で関係が生々しくなると思うからだ。実際は逆で、決めていないほうが毎回小さな駆け引きが乗る。冷めるのはそっちだ。

どの段階でも、生活を削ってまで払わない

3行目が一番大事で、一番守られていない。翌週の食費や移動を我慢しないと成立しない支払いは、分担ではなく無理だ。この話は独立した章で書く。

以上が答えだ。そもそも「奢るべきか」という問いの形が悪い。問うべきは今日いくら出すかではなく、この関係で何をどう分けるかのほうで、金はその分担項目のひとつでしかない。

なさ男

店を決める前に払う覚悟が済んでいれば、伝票の前で悩むことはない。

払われる側を職業にして分かったのは、金は主導権を作らないということだ

デート代を語る男のほとんどは、払われる側を経験していない。僕は職業として両方に立ったので、その景色を書く。先に線を引くと、レンタル彼氏もギャラ飲みも仕事の中身は食事と会話と同伴で、金銭を対価とした性的なサービスは業界のルールとして行わない。参加は18歳以上に限られる。

累計500時間、僕は一度も財布を出していない

レンタル彼氏の料金は、事務所を通して先に決まる。時給が2,000円から3,000円ほどで、そこに指名料が乗る。2年間の総収入は120万円ほどだ。この中に飲食代は含まれず、当日の支払いは全部お客さん持ちだ。

2時間のコースで、映画のチケットも、そのあとの喫茶店も、駅ビルで足を止めたマフラーも、僕の口座を一円も通らない。あの2年で財布から出したのは、待ち合わせ場所までの電車賃くらいだ。指名約80人、累計約500時間。会計をしないという状態を、それだけの時間続けた。

そこで最初に狂ったのが、金と立場についての常識だった。払っているのは向こうなのに、席で緊張していたのはこちらではなかった。

払っているのは相手なのに、気を使っていたのも相手だった

ギャラ飲みの席では、これがもっと極端に出た。手取りは1回5,000円から1万円ほどに交通費がつく程度で、月にすれば5万から8万円。金額は小さいが、回数は約200回だ。

あの席で何度も見たのは、支払う側の女性が「楽しんでもらえているか」を気にする光景だ。料理を追加していいか確認され、終電を気にされ、帰りぎわに「今日つまらなかったよね」と言われたこともある。金を出しているのは彼女たちなのに、空気に責任を感じていたのも彼女たちだった。

この仕事の仕組みは、ギャラ飲みに男性キャストとして200回参加した仕組みと相場の話に分けて書いた。ここで言いたいのは一点だ。支払いが立場を決めるなら、萎縮するのはキャスト側でなければおかしい。実際はそうならなかった。

家賃を出されていた1年半にも、上下は生まれなかった

同棲していたのは、27歳から28歳の1年半。相手は10歳年上で、会社を経営していた。住まいの費用も光熱費も食べたものの代金も、僕の名義の口座を経由せずに落ちていく。デート代という言葉すら成立しない。

それでも、彼女が金を盾に何かを命じたことは一度もない。あの生活で僕がおかしくなったのは、下に置かれたからではない。自分から決めることをやめたからだ。その心理の中身は、彼女の方が年収が高い状況でプライドをどこに置くかを書いた記事に置いてある。

金額の大小と関係の上下は、僕が経験した範囲では連動しない。デートで3,000円多く出した男が、その分だけ相手より上に行けることも当然ない。

なさ男

払う側が主導権を握るなら、僕の20代はもっと簡単だったはずだ。

カウンターの内側から、僕は3年間ずっと他人の会計を見ていた

払われる側の話が続いたので、観察していた時期に戻る。二人客の支払いは必ず僕の目の前で決着する。他人の関係の断面を毎晩見せられる仕事だった。

荻窪の10席で、僕が見ていたのは金額ではなかった

荻窪の店はカウンター10席だけで、週6で夕方から深夜まで立っていた。そこで見ていたのは、いくら払ったかではない。どちらがどう切り出したか、相手がどう受けたか、何秒かかったか。この3つで、その二人がまた来るかが驚くほど当たるようになった。

また来る二人は、支払いを毎回交渉していない

何度も顔を見る二人には共通点があった。とにかく短い。男が「まとめてお願いします」と言い、女性が「じゃあ次は私ね」と即答して終わる。5秒かかっていない。決まっていることを確認しているだけだ。

逆の形もあった。女性が先にカードを出して、男が「ありがとう、二軒目は僕で」と受ける。これも早い。どちらが払ったかは、続くかどうかとまるで関係がなかった。関係していたのは、その支払いが決まっていたかどうかだけだ。

気まずくなる二人には、3つの型がある

逆に、レジ前の空気が固くなる組み合わせも毎晩あった。型は3つある。ひとつめは、伝票を見て男が固まる型。金額を確認した瞬間に顔つきが変わり、会話が短くなる。この二人を再び見たことはない。

ふたつめは、女性が財布を出そうとするのを手で制する型。動作は様になっているが、3回目あたりから女性が黙る。返せないものを積まれ続けると、人は身動きが取れなくなる。

みっつめが、レジの前で初めて分け方の相談を始める型だ。これが一番きつい。店員も後ろの客も待つ場所で、関係の位置決めを始めることになる。あの仕事の本体は観察量で、それがなぜ好かれることに繋がるのかはバーテンダーがなぜモテるのかを5つに分解した記事に整理した。

なさ男

会計にかかった秒数のほうが、金額よりよほど正直だった。

支払いは関係の値付けではなく、役割の分担である

ここが記事の芯だ。デート代を巡る苦しさのほとんどは、支払いを「関係の値段」だと思い込むところから生まれる。前提を入れ替えると、悩みの形そのものが変わる。

奢る派と割り勘派は、同じ前提を共有している

男が払うのが当然だと言う側は、支払いを男の甲斐性の値段だと考えている。割り勘こそ対等だと言う側は、支払いを立場の対価だと考えている。主張は真逆でも、金額が関係の性質を決めると信じている点では同じだ。

だから議論が金額の攻防になる。全額か、折半か、7対3か。答えが出ないのは、測る単位を間違えているからだ。流れてくる強い意見に条件が書かれていないのも同じ根で、条件を戻して読み直せば、大声の意見のほとんどは自分に当てはまらなくなる

多く払った側が上、という感覚はどこから来るのか

出どころは、恋愛を売り買いの比喩で捉える習慣だと思う。男の価値に値段をつけ、支払能力で順位が決まるという発想だ。恋愛市場価値という言い方が広まる理由も、根は同じところにある。

ただ、関係の中で交換されているものは金だけではない。金だけを数えると、出した側が一方的に与えているように錯覚する。数えていない項目が多いほど、支払いは重く見える

分担できるものは、金だけではない

デート1回を成立させるために、二人が持ち出しているものを並べてみる。

  • 店を探して比較する時間
  • 予約と、変更や取り消しの対応
  • 移動の距離と交通費
  • 日程を合わせる調整
  • 相手の話を最後まで聞く集中力
  • 機嫌を一定に保つ地味な労働

金はこの一覧のひとつでしかない。僕はレンタル彼氏の2年間、一覧の後半だけを売って生活していた。時間、段取り、傾聴、機嫌。金を1円も出さない側が、それでも対価として成立するものを持っていた。職業の場で成立するなら、恋愛で成立しないわけがない。

値付けだと思った瞬間に、関係は取引に変わる

支払いを値段だと捉えると、人は必ず費用対効果を考え始める。これだけ出したのだから、これくらいは返るはずだ、と。その計算が始まった関係は、もう恋愛ではなく取引だ。

厄介なのは、受け取る側でも同じことが起きる点だ。返せない額を出され続けた人間は、それを負債と感じ始める。負債になった時点で、会う理由に「返さなければ」が混ざる。

取引で成り立った関係は、条件のいい相手が現れれば乗り換えられる。条件で選ばれたのだから当然だ。分担で組み立てた関係には、その弱点がない。値段で選ばれた人間には代わりがいるが、役割で必要とされた人間には代わりがいない

関係の段階ごとに、支払いをどう組むか

ここからは淡々と実務の話をする。同じデート代でも、初回と交際1年目では最適な形が違う。段階ごとに決めておけば、その場で考えずに済む。

関係の段階現実的な組み方やってはいけないこと
初回(お茶か短い食事)男が全額出す前提で、自分が出せる価格帯の店を選ぶ出せない店を先に決めてから困る/レジ前で割り勘を切り出す
2〜3回目相手が出すと言えば受ける。会計の場以外で分担を一度だけ話す押し問答を繰り返す/毎回その場の空気で決める
交際の初期金額を揃えず担当で分ける(食事とカフェ、移動と入場料など)1円単位で割る/全額負担を続けて自分の生活を削る
交際が続いてから収入の差に応じて割合を決め、半年に一度は見直すなし崩しで固定する/養っているという言い方をする
同棲・生活の共有生活費は割合で分け、契約の名義は分けたままにしておく支払いも名義も、片方に全部寄せる

初回は、店の格を自分の生活のほうに合わせる

初回で失敗する原因はほぼひとつ、相手に合わせて店を上げてしまうことだ。相手の生活水準で選ぶと、支払う段になって自分の生活が削られる。基準は自分側に置く。

安い店で申し訳ないと思う必要もない。初回に見られているのは価格帯ではなく、店を選んだ理由のほうだ。店選びから当日の振る舞いまでの手順は、年上女性とのデートで店をどう選び会計をどう組み立てるかを書いた記事にまとめてある。

分担の話を切り出すなら、伝票が乗ったテーブルではなく次の予定を相談している最中がいい。「今度の水族館、チケットはこっちで取る」と言えば、それだけで分担の提案になる。一度決めたら蒸し返さない。

付き合いが長くなったら、金額を揃える方式は捨てる。収入も忙しさも一定ではないからだ。外食はこちら、旅行の宿は相手というように担当で分けると、支払いのたびに損得を計算しなくて済む。

相場の数字を出さない代わりに、上限の決め方を書く

デート代の相場を数字ひとつで示すことは、僕にはできない。同じ食事でも東京の駅前と地方都市では総額が変わり、20代前半と30代半ばでも、初回と交際3年目でも変わる。ひとつの数字は、多くの人にとって間違いになる。

数字の代わりに、上限を決める問いを2つ置いておく。ひとつは「これを払った翌週、自分の食事や移動を我慢することになるか」。もうひとつは「一円も返ってこなくても腹が立たないか」。両方に問題がなければ、その額があなたの適正だ。

この2問で決まる額は、人によってまったく違う。それでいい。相場に合わせるのではなく、自分の生活に合わせて決めるのが、続けられる唯一のやり方だ。

なさ男

その場で考えるから毎回しんどい。段階ごとに先に決めておけばいい。

無理をして払った金は、見返りを要求する形で戻ってくる

ここは独立させて書きたかった章だ。デート代で本当に危ないのは、ケチだと思われることではない。身の丈を超えて払うことのほうだ。その金は消えず、形を変えて必ず取り立てに来る。

効いてくるのは払った瞬間ではなく、翌週だ

無理をして払った直後は、むしろ気分がいい。喜ばれた記憶が残っているうちは、支出の痛みが隠れている。問題は、請求書が数日遅れて届くことだ。

翌週、返信が半日遅れる。次の誘いをやんわり断られる。そのときに「あれだけ出したのに」が頭に浮かぶ。浮かんだ時点で、あの支払いは贈り物ではなく投資になっている。投資は回収を求める。

見返りを期待している側は、隠したつもりでも態度に出る

これは払われる側にいた人間として断言できる。期待は必ず伝わる。会計のあとにこちらの顔を見る時間が少し長い。感謝の言葉が返るまでの間が空くと、目線が動く。本人は隠しているつもりでいる。

面白いのは、これが性別を問わないことだ。ギャラ飲みの席でも、支払う側の女性が期待を強く持った瞬間に空気は重くなった。「今日は私が出すから」の直後にこちらの反応を確認する目線。あれが出ると、その席はもう戻らない。

「これだけ出したのに」が出た時点で、それは取引になっている

対処は単純で、返ってこなくていい額しか出さないこと。出す前に「この金は戻らない」と決めておけば、期待が生まれる余地がない。期待がなければ、態度にも出ない。

同棲していた1年半、彼女が僕に出した金額はかなりの額になったはずだ。それでも金の話で険悪になったことは一度もない。彼女が回収しようとしなかったからだ。出す金額の大きさではなく、回収するつもりがあるかどうかが空気を決める。この構造は、3,000円の食事でも家賃でも変わらない。

女性は、支払いの何を見ているのか

この章は相手側の話だ。ギャラ飲みとレンタル彼氏の現場、カウンター越しの3年で聞いた範囲だが、女性が支払いの場面で見ているものは男の想定とかなりずれている。

見られているのは金額ではなく、決め方の速さだ

伝票が置かれてから動くまでの時間。ここが一番見られている。迷いが長いほど、相手は「面倒なことが始まる」と身構える。金額ではなく、判断の話だ。

最悪なのが「どうする?」と相手に投げる形だ。支払いの決定を相手にさせたことになる。決めるのが速い男は、出した額が小さくても評価を落とさない。逆に、高い店で長く迷った男の話は何度も聞かされた。

割り勘は、伝え方とタイミングでほぼ決まる

割り勘そのものを嫌がる人は、僕が聞いた範囲では多数派ではない。嫌がられるのはやり方だ。特に、レジ前で初めて切り出される形。共有していない条件を、断れない場所で出すのと同じになる。

店を決める段階で価格帯を共有しておけば、割り勘は失礼にならない。「ここなら二人でこれくらいだから、半分ずつでいい?」を予約の前に置けばいい。ケチだと思われる原因は割り勘ではなく、事前に言わなかったことのほうにある。

出させてもらえないことが、負担になる場合もある

毎回全額を出され続けると、相手に返せない負債が積み上がる。バーで見た、財布を手で制されて黙っていった女性たちがこれだ。好意のつもりの行為が、相手の身動きを奪うことがある。立場が逆になったとき何が起きるかは、奢ってくれる女性の心理と受け取る側の作法に書いた。

女性が奢る側に回りたがるとき、その動機は同情でも打算でもないことが多い。対等でいたいという意思表示だ。だから、出したいという申し出を毎回断り続けるのも、同じことを相手にしている。受け取るのも分担のうちだ。

奢られ慣れている人ほど、金額そのものには鈍い

印象に残っているのは、ギャラ飲みの席で伝票を誰も見なかったことだ。幹事役の女性がカードを出し、金額を確認する所作すらないまま席が立つ。あの光景を何度も見て、金額で驚かせるという発想は捨てた。

金額の勝負には必ず上がいる。効くのは、その人が普段自分でやっていることを代わりに引き受けるほうだ。店を探す、予約を入れる、日程を調整する。金を持つ人ほど、その手間を買っている。

なさ男

金額で殴りにいっても効かない相手がいる。手間なら、たいてい効く。

上限の決め方を書いたので、そのまま数字にできるようにしておいた。出てくるのは相場ではなく、自分の生活から逆算した額だ。

デート代の上限を、自分の生活から逆算する

相場をひとつの数字で示すことは僕にはできない。代わりに、翌週の生活を我慢しなくて済む上限を出す。入れた条件をそのまま計算しているだけだ。

月に残る余白
半分ずつ分担する場合、二人分の会計の上限
この上限で1年続けた場合の支出
デート1回に出せる上限(全額出す前提)

上限を決める問いはもう1つある。一円も返ってこなくても腹が立たないか。そちらは自分で答えるしかない。計算はブラウザ内だけで行われ、入力値はどこにも送信されない。

デート代の奢りについてよくある質問

相談の多い質問に、両側に立った人間として答える。金額の正解ではなく、判断の基準を書く。

初回のデート代は、男が全額出すべきか

出す前提で組むのが一番揉めない。ただし全額出せる価格帯の店を選ぶところまでが一組の動作だ。初回は相手が移動と時間と安全上の負担を持っている。釣り合いを取るための分担であって、甲斐性の証明ではない。

割り勘を提案したら、ケチだと思われるのか

提案する場所と時期による。店を決める段階で価格帯とあわせて伝えるなら、ほとんど問題にならない。印象が悪くなるのは、伝票が来てから初めて切り出す形だ。断れない場所で出された条件に、人は身構える。

相手が「出す」と言ってきたら、どうすべきか

受け取ったうえで、次の分担を口にしておく。断り続けると、相手は対等でいたいという意思表示の行き場を失う。ただし、返せる形を自分の予算内に用意してから受けること。

デート代の相場はいくらか

地域と年齢と関係の段階で動くため、数字をひとつ挙げても多くの人には合わない。決めるなら2つの問いで足りる。払った翌週に自分の生活を我慢しないか。一円も返らなくても腹が立たないか。両方が問題なければ、その額が自分の相場だ。

相手のほうが収入が高い場合は、どう考えればいいか

金額を揃えにいかないほうがいい。無理に並べると生活が削れ、削れた分は態度に出る。割合で決めるか、担当で分けるかの二択で組む。ただし、自分の名義で払うものをゼロにはしないこと。

誰が払うかではなく、払ったあとに何が残るかで決める

最初に書いた通り、僕はこの論争に長く当事者として入れなかった。払われる側にいたからだ。ただ、その位置から見えたものがあるから、答えを書いている。

数百時間、僕は自分の財布を出さずに人と向き合ってきた。その間ずっと、金を出している側が上に立つ場面を待っていたが、来なかった。関係の温度を決めていたのはいつも、金額ではなく決め方のほうだった。

だから持ち帰ってほしいのは3つだけだ。全額出す前提で、出せる店を選ぶこと。分担を一度だけ言葉にして、あとは蒸し返さないこと。返ってこなくていい額しか出さないこと。この3つが守れていれば、奢っても割り勘でも関係は壊れない。

デート代で悩んでいるとき、本当に足りていないのは金ではない。自分の中に基準がないから、他人の意見に毎回揺さぶられているだけだ。基準を持った人間は、3,000円の店でも堂々と座っていられる。僕が20代の6年で見てきたのは、そういう男が最後まで選ばれ続けるという事実のほうだった。

なさ男

払える額で、機嫌よく。それができる男が、いちばん強い。

この記事を書いた人

元ギャラ飲みキャスト(約200回)・元レンタル彼氏(指名80人)・ヒモ経験1年半。20代の大半を「女性に求められる側」で生きてきた32歳。恋愛とお金の交差点を、実体験と失敗談込みで書いている。詳しい経歴はプロフィールページで公開中。

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